鼓 動 の 音 は 二 つ 。
二 つ 以 下 も 以 下 も 無 い
embrace |
それは突然やってきた
・・・・・顔に傷を作って
「・・・・また小烏丸の子と喧嘩したのかい」
「・・別に何でも良いだろ」
ミツル君は不機嫌そうにとむくれさっさと寝室に入ってしまった。
何でも良いわけがない、ミツル君はいつだって心配して欲しいと思っているのだ
ただ、それを表現する言葉を見つけられない不器用な子なだけ
だから傷の手当てもしないでこうして喧嘩をしてもまっすぐ僕の家へやってくる
僕にとっては喜ばしい事この上ないのだけれど
「ほらミツル君、手当てするからこっちおいで」
「・・・嫌だ」
「ミツル君」
名前を呼ぶと、渋々だが僕の居るリビングにやってくる。
救急箱から出した消毒液をガーゼに含ませ
切れた口の端をそっと拭いてやると小さくだが、痛みに顔を顰めた。
ぺたりと絆創膏を口許に貼り頭を撫でてやる。
さて・・・・
「今日は何を理由に喧嘩をしたの」
「・・・・・・・」
顔を背けたままだんまり。
今までの喧嘩の理由には飲んでいたジュースをとられただの帰り道が一緒だったからだの
あきれるほどくだらない理由だった。顔に傷まで作って・・・
(無理は若いうちにしろと言ったのは誰だっただろうか)
まぁ・・・良いか
「言いたくないなら別に良いけど・・・無茶はしないでくれよ」
少なくとも僕は心配なんだから
と付け足し彼に紅茶を淹れるために立ち上がりキッチンへ足を運ぶ。
本音だった。正直彼に傷がついているのは見たくない。
当たり前だ、大切に思っているのだから
ティーカップを熱湯につけ、茶葉をポットに入れながら僕は内心イラついていた。
らしくない。
些細な事にイラついて、馬鹿みたいだ
程よい色合いになった紅茶を温めておいたカップに注ぎ角砂糖の瓶と共にリビングへ運ぶ
「寒かっただろう?ほら」
「・・・・ありがと」
角砂糖を紅茶に幾つも放り込みかき混ぜるその姿を見ると本当にこどものようで。
今はもう見慣れてしまったが、初めのうちは驚いた。
彼の手はとどまるところを知らないようにこの小さなティーカップに大量に角砂糖を入れていたから。
彼は異常なまでに甘いものが好きなようだ・・・
「・・・・ねぇ左」
「?何だい」
角砂糖と紅茶を一体化させるようにスプーンを回しながら彼はごめん、と呟いた
あぁ全くこの子は
これだから、憎めなくて困る。
「怒ってないよ、けどもう少し怪我をしないように」
「・・・・ん」
ず、と言う小さな音を立てて紅茶を啜りながら返事をした彼を、
抱きしめてやりたい衝動に駆られたがここは一つ我慢。
この部屋には二人しか居ないのだから、ゆっくりと時間をかければいい。
君が望むなら時間の無い世界にしたっていい
たった二人のこの世界を
だからほら、腕の中へおいで
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誰も望んでなくたって左ミツ書いちゃう・・よ・・・凹
この曲の歌詞、左ミツ的でですね・・・!(必死)
あ、でも左カズでもいけるかも。ェ
20041027