連絡が無いからおかしいとは思っていたんだ。
cold,you are sick?
メールを送っても返事はなく、電話をしてもでない。
まぁメールの返事が無いのはたまにあるとしても電話に出ないのはおかしい。
不機嫌そうに「何?しつこい」の一言をくれるのが僕たちの日常だからだ。
・・・何かあったな
僕は壁に掛かっていたジャケットをはおり家を出た。
家から彼が一人で暮らしているマンションまでそんなに遠くはなく、
歩いて行ける距離にある。
前に一度聞いた事がある。なぜ一人で住んでいるのかと。
けれど彼は「別に良いだろ」と言って何も答えてはくれなかった。
それより何か買っていくべきか迷ったがとりあえず彼の安否が気になったので足早に向かった。
*
チャイムを鳴らせばピンポン、と軽快な音。
・・・・・
もう一度
・・・・・
扉をノックしても返事は、ない
何度かチャイムを鳴らし続ければ携帯の着信音がポケットの中で鳴り響く。
「・・もしもし?」
『・・・・・・・・・・あいてるから』
「え?」
たったの一言で切った相手を誰かと思えばそれはミツル君で。
ガチャリとドアノブをひねると簡単に開いた。
広めの玄関から見えるのは彼の寝室であり、ベッドが盛り上がっているのが見えた。
お邪魔します、と声を掛け奥の寝室へ向かいベッドの傍に行くと
にょき、と布団の中から腕が出てくる。細いけれど筋肉のついた腕
その腕は僕を追い払うような動きをしている。
・・・帰れってことか・・・
「ミツル君」
「・・・・・・・・帰ってよ」
「なぜ」
「何でも、良いだろ」
「良くないですよ」
顔は出さずに腕と口(というか声)だけでものを言う。
さすがにカチンときたので無理矢理掛け布団を剥ぎ取ってやるとそこには
赤い顔をして息を乱した彼が、居た。風邪をひいていたのだ。
こんな時に不謹慎だとは思うけれど、それはとても煽情的で
「ミツル・・・君?」
「・・・帰ってってば・・」
けほ、と小さく咳き込み僕に背中を向けた。
小さいからだがいつもより小さく見えた気がして
「帰りません」
「は・・?何言ってんの、帰ってよ・・・」
「どうせ何も食べていないんでしょう?キッチンお借りしますよ」
「大丈夫だってば・・・っ・・・」
痛々しいまでに掠れた声。
こんなになるまでなぜ一人にしていたのだろう。
もっと早く気付いてあげていれば、と後悔の念が押し寄せてくる
とりあえず薬を飲ませなければと思い棚をあけ風邪薬を探し当てる
勝手知ったるなんとか、というのはまさにこの事だと自負する。
冷蔵庫から出したスポーツドリンクをカップに注ぎ、薬と共に彼のもとに運ぶ。
「とりあえず飲んでください」
「・・・・ほっといてよ・・」
「何を言っているんですか」
「・・・・・・・・・風邪、うつるよ」
「別に構いませんよ」
「良くないよ・・・」
彼は、こんな僕に風邪をうつしたくないからと言う理由だけでメールの返事も、電話にもでなかったというのか。
呆れるというよりは、嬉しさの方が勝っていた
いつもは憎まれ口しか叩いてくれない君が僕のことを考えていてくれたなんて
「・・・・何にやけてんの・・きもちわるい」
「失礼ですね、ほら早く飲んでください」
「・・やだ、粉薬嫌い」
「我儘言わないでください、錠剤がなかったんですから」
「いらない、病人扱いするな・・・」
弱々しく薬をつき返す彼は何だか可愛く思えて
優しく額にキスをしたら少しだけおとなしくなった
「・・・うつるよ」
「唇じゃないからうつりませんよ」
「・・・飲ませて」
「そんな子供みたいな事を」
「じゃぁ飲まない」
・・・・本当に、僕は彼に甘いと思う
口に薬を含んで柔らかく口付けて薬を飲ませてやると
「・・・・まず」
「薬ですから」
「今のはうつったかもね」
「別に構わないんですって」
「・・・なんで」
「何でって・・・僕が風邪をひいても君が看病してくれるでしょう?」
「ば・・・ばかじゃん」
そうやってまた憎まれ口を叩く君が堪らなく愛しくて、
もう一度口付けようとしたら眼鏡を外されて、やんわりと熱い唇を押し付けられる
「・・・珍しく積極的ですね」
「・・・・風邪、うつしてやろうと思って」
「・・有り難く頂きますよ」
何でもいい 風邪なんてどうだっていい
ただ君が傍に居てくれれば、僕にはなんだっていいことなんだ
だからお願い、僕のそばにいて
不器用な僕だから こんな時くらい甘えさせてよ
--
Happy Happy Birthday ポチさま・・・・・☆
こんなクッサイ少し遅れたお誕生日プレゼントですみません・・!!泡
よ、よかったら貰ってやってください・・返品も可能ですので!あばば
風邪を引いてちょっとだけ甘えたなミツ公。
20040924