寝ぼけ眼でベッドの中からテレビをつけると、丁度良くやっていた
天気予報で今日の降水確率は70パーセントだといっていた。
寝転んだまま窓の外を見ても雨が降る気配は全く無く、快晴といったところだ。
どうせ今日は家に居るし出かけた時に降ったとしてもA.Tがあるから少し濡れても別に構わない、
と考えミツルは再びベッドにもぐり眠りについた


















It's gonna rain.
















聞き慣れた音が耳に届く。何の音だろうか、考える事数秒。
指定着信音・・・・・・・宇童さんだ!
慌てて携帯を探り当て通話ボタンを押す。


『もし、もしっ』
『寝てたか?』
『えっ・・・えーっと』
『別に怒ったりしない』
『・・・寝てました』
『やっぱりな』


優しい声がする。
この小さな機会の向こう側で宇童さんが笑ってる顔が浮かぶ。
それを考えるだけで、何だか女の子みたいだけど自分も嬉しくて顔が綻ぶ。


『・・ところで、どうしたんですか』
『ああ、今から出てこれるか?』
『あ、大丈夫です。どこですか?』
『いつものところだ』
『わかりました』


電話を切ってから急いで顔を洗って着替える。
窓の外を見れば朝とはうって変わって・・・もう夜だった。
僕は一体何時間寝ていたのだろうか・・・・ということを考えるのは後にして
A,Tをはいて外に飛び出した。
目指すのはいつもの場所。今は使われていないビルの屋上で、僕たち二人の秘密の場所。(と思いたい)
空を駆け、宇童さんの待つ場所へ。


と。


ポツリ


顔に当たった何か。
嫌な予感がした。空を見上げれば暗い空から水滴が。
今になって朝の天気予報を思い出して腹が立った。何も今降らなくたって良いじゃないか。
スピードをあげてビルに向かう。宇童さん、濡れてなければ良いけど・・・


「っハァ」


屋上について周りを見回す
・・・・いない・・・・?


宇童さん・・・?」
「ミツル」
「・・・っ・・・びしょ濡れじゃないですか・・そこ、屋根あるのに・・」


慌てて屋根の下に連れて行くと宇童さんが何か呟いた。


「・・・・・・・から・・」
「・・・え?」
「ミツルも濡れてるだろうと思ったから」


そう言って優しく抱きしめてくれる。温かい腕で。
宇童さんは真顔で僕が照れるような事を平気で口にする。
とても嬉しいと思うけれど。それでも宇童さんはほんの少しだけ他の人より不器用だから
直接的な表現ではなくて宇童さんなりの言葉と抱擁を僕にくれる。
それだけで、とても満足。




・・・・宇童さんが風邪ひいちゃったら嫌ですよ・・・」
「俺はお前が風邪をひく方が嫌だ」
「・・・・・・」


そんな子供みたいな理由を言うことさえ愛しくて。
僕より少し背の高い宇童さんの後頭部を引き寄せて額をくっつける
整った顔、透き通るような低い声、強い体。
今この人を独占しているのは自分なんだと思うとなんだかとても嬉しくて。
ぎゅっと宇童さんに抱きついた。


「どうした・・・?寒いか?」


そう言って濡れた僕の髪を撫でる手はとても優しくて、それでいて暖かい


「いいえ」



引き合わされるように、吸い寄せられるように、僕たちは口付けた




濡れ鼠二人暗い雨空の下で抱き合い、逢う。
夜が、明けるまで。











全て雨のせい、ということにしておこう。

















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すごくむずかしい・・・アキラはあまり笑顔を見せない人だといい
20040902












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