蜂蜜
しとしとと雨が降り続く
もうここ3日、この雨は一向に止む気配を見せない。
ミツルはベッドに寝転がり、俺はそんなミツルの隣りで小説に目を落としている。
ふと小説を閉じてミツルの蜂蜜色の髪に指を絡めれば柔らかく嬉しそうに微笑んでくれる
ゆっくりと起き上がり甘えるように体を寄せるミツルはまるで猫のようで
唇を重ねればそっと背中に腕を回してくれる
離してやると いやです、と小さなわがまま。
もう一度口付けてゆっくり舌先で唇をつついてやると、恥ずかしそうにうっすらと唇を開ける。
そっと口腔に舌を差し込むと きゅ、と俺の服を掴む。
宇童さんとのキスは好きだ。
とても、甘く感じられる
舌を絡めればとろとろにとけてしまいそうな程で
あわよくばそのまま、とけて、消えてなくなってしまいたくなる
ミツルは凄く甘い
まるで蜂蜜のようで、それでいて甘美
離したくなくなる、誰にもやらない 触れさせない
そんな俺の醜い独占欲
込み上げる愛しさと独占欲、きつく抱きしめるとミツルが少しだけ苦しそうに、
そして心配そうに 大丈夫ですか と聞いてくる。
ああこいつは
自分より俺のことを。
なかなか感情が出せない自分が恨めしく、ミツルを前にすると時折泣きたくなる
ミツルがあまりに純粋すぎるから
自分の狡さに気付かされる
それでもミツルと一緒に居るのは、少しでも救われたい自分が居るからだろうか
情けない
「・・・悪い」
「・・・・・宇童さんが謝る事なんて一つもないんですよ・・?」
あまりに優しい声で俺を諭すから
もっと聞きたいのに、でも聞きたくなくて
気付けば がり とミツルの首筋に噛み付いていた
赤くついた歯型、薄く滲む血
それなのにぽんぽん、と優しく俺の背中を撫でるミツル
「宇童さん」
「・・・・・・」
「僕は此処に居ます」
「・・・・・・」
「あなたを置いていったりなんか」
絶対にしませんから、と囁いて今度は俺をきつく抱きしめてくれる
心地よい体温にふ、と目を閉じる
「・・・・・・今だけでも、こうさせてくれないか」
「勿論です」
雨はまだ、止まない
--
よわっちい宇童さん。
20040929